コラム– category –
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すみきりましたがむねのうち【最終回】
この連載が始まってからおおよそ2年半が経ちました。 スタートの記事には、私の幼少期と高校時代を過ごしたアメリカのことを書かせていただきました。 高校を卒業してその後、私は日本に帰っていろんなご縁を頂き、オーストラリアやヨーロッパ諸国などアメ... -
名器への幻想①【其の四十四】
楽器には、名器と呼ばれるものがあります。 雅楽における名器とはどのようなものでしょうか。 宮内庁元主席楽長・東儀俊美師が「名器への幻想」という文章を書かれていましたので紹介します。 (1)雅楽は五世紀の中頃、新羅し、幾多の変遷を経て「日本の... -
ことばを残し伝える【髙橋冬樹②】
前月は香港の言語について、「両文三語」という言語政策を中心にご紹介しました。 「両文」とは、中国語の標準語と英語の書き言葉を指し、そこに現地で生まれ育った香港人の母語である広東語を加えた話し言葉が「三語」を意味します。 実はこの広東語、今... -
蝉丸【其の四十一・四十二・四十三】
「今は昔」で始まる「今昔物語」の巻二十四の二十三話に源博雅が蟬丸法師に琵琶の秘曲「流泉」と「啄木」を習得する話が載っています。 ちょっと意訳になりますが、某紙にあったものを掲載します。 今も昔も、人が心の底から学びたいと思ったとき、その人... -
言葉一つ【髙橋冬樹①】
「『ことば』を使わずに考えてみてください。」 そんなことできるはずもないのですが、ある先生に問いかけられたこの一言で、普段何気なく使っていることばがどれだけ大切なのかを理解できた気がしました。 皆さんもぜひ一度試してみてください。 今回... -
身の回りに溢れる”中国製”【山本伸裕②】
今回は留学時代ではなく、前職での海外出張で見た中国の製造現場の話を記そうと思います。 以前私はあるメーカーで商品の企画開発の仕事をしていました。 詳細を記すと、雑貨や生活用品を扱う小売店へ商品の企画提案を行い、そのアイデアをもとに生産工場... -
郷に入っては郷に従え【山本伸裕①】
教祖130年祭の前日、21歳の私は関西国際空港に降り立った。 中国の蘇州という街での1年に渡る留学から帰国したのである。 留学生活での確かな成長、学び、達成感と寂しさで胸がいっぱいだったのを覚えている。 1年も生活をしていると衝撃的な経験もたく... -
海賊丸【其の四十】
篳篥にも盗賊を改心させた物語が「古今著問集」始め多くの書物に載っています。 平安時代に、和爾という篳篥吹きが四国(土佐の神社の船遊び)から京へ船で帰る途中、安芸の国の某湊で、海賊に襲われた。 用光は楽人なので弓矢の使い方も知らない。 身ぐるみ... -
21st【中田大安②】
日本ではこれまで新成人となる20歳の大きな節目の年に、成人式などの行事で盛大にお祝いをしてきた。 しかし、今年度より成人年齢が約140年ぶりに18歳に引き下げられたこととなった。 今後成人式がどのように行われるようになるのかは興味を惹くところ... -
盗賊【其の三十九】
ある晩、博雅の家に四、五人の盗賊が入りました。 物音に気付いた博雅は急いで布団から身を起こすと板敷きの板をあげ、床下に潜り込みました。 奥さんや娘さんは、親戚へ行っていてその晩は留守でした。 盗賊は、誰もいないことをいいことに、手当たり次第... -
当たり前じゃない世界【中田大安①】
日本から赤道を超え、南へ約8千㎞。 オーストラリアの地で過ごした6年半は、私の人生のかけがえのない宝物となっている。 「わあ、空が広い」ありきたりな感想だが、まだ純粋な心を失っていなかった若干15歳の私が、異国の地に降り立った瞬間に最初に抱い... -
葉二(はふたつ)【其の三十八】
次も、博雅三位のエピソードで、鬼と笛を取り替えた話が「十訓抄」(鎌倉時代中期の説話集)に収められている。 博雅三位こと源博雅が、月の明るい夜、朱雀門の前で笛を吹いていた際、同じように笛を吹いている男性に出会います。 博雅は誰だろうと思いま...