雅楽の話– category –
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名器への幻想【其の四十四】
楽器には、名器と呼ばれるものがあります。 雅楽における名器とはどのようなものでしょうか。 宮内庁元主席楽長・東儀俊美師が「名器への幻想」という文章を書かれていましたので紹介します。 (1)雅楽は五世紀の中頃、新羅し、幾多の変遷を経て「日本の... -
蝉丸【其の四十一・四十二・四十三】
「今は昔」で始まる「今昔物語」の巻二十四の二十三話に源博雅が蟬丸法師に琵琶の秘曲「流泉」と「啄木」を習得する話が載っています。 ちょっと意訳になりますが、某紙にあったものを掲載します。 今も昔も、人が心の底から学びたいと思ったとき、その人... -
海賊丸【其の四十】
篳篥にも盗賊を改心させた物語が「古今著問集」始め多くの書物に載っています。 平安時代に、和爾という篳篥吹きが四国(土佐の神社の船遊び)から京へ船で帰る途中、安芸の国の某湊で、海賊に襲われた。 用光は楽人なので弓矢の使い方も知らない。 身ぐるみ... -
盗賊【其の三十九】
ある晩、博雅の家に四、五人の盗賊が入りました。 物音に気付いた博雅は急いで布団から身を起こすと板敷きの板をあげ、床下に潜り込みました。 奥さんや娘さんは、親戚へ行っていてその晩は留守でした。 盗賊は、誰もいないことをいいことに、手当たり次第... -
葉二(はふたつ)【其の三十八】
次も、博雅三位のエピソードで、鬼と笛を取り替えた話が「十訓抄」(鎌倉時代中期の説話集)に収められている。 博雅三位こと源博雅が、月の明るい夜、朱雀門の前で笛を吹いていた際、同じように笛を吹いている男性に出会います。 博雅は誰だろうと思いま... -
玄象(げんじょう)【其の三十六・三十七】
博雅が絡む話の第一に琵琶の名器・玄象まつわる話です。 今は昔、村上天皇の御代に、玄象という琵琶が、突然、消えて失せてしまった。 これは皇室に代々伝わってきた由緒ある宝物であったが、このようになくなってしまったので、天皇がひどく嘆かれ、「こ... -
源 博雅【其の三十五】
長い歴史のある雅楽には、さまざまなエピソードが残されている。 人に関したもの、楽器に関したものなど。そうした中から少し取り上げて紹介したいと思う。 まず、最近、陰陽師(夢枕獏著)の小説で知っている方も多いと思うが、源博雅を取り上げてみたい... -
風姿花伝【其の三十四】
雅楽から出た言葉の掲載を終え、箸休めならぬ筆休めとして、先に「序の口」(昨年7月号)の項で出てきました「風姿花伝」について、林望(はやしのぞむ・作家)氏が某紙に書いておられた文章を転載します。 世阿弥の『風姿花伝』、これじつは『花伝』とい... -
雅楽から生まれた言葉⑩【其の三十三】
甲高い 雅楽では、高い音のことを甲音(こうおん・かんおん・セメ音のこと)と言います。 逆に低い音のことを乙音(おつおん・フクラ音)と言います。 このことから、高い声などを「かんだかい」というようになったとのことです。 甲と乙では、一オクター... -
雅楽から生まれた言葉⑨【其の三十二】
呂律が回らない 呂律 となったとされています。 雅楽の6つの調のうち、3つが「呂旋」になります。 解りやすく理解するとなれば、呂旋・律旋というのは、長調と短調のようなものと考えて頂くと間違いはないと思います。 つまり音階の違いです。この長調と... -
雅楽から生まれた言葉⑧【其の三十一】
やたら 「やたら安い」「やたら多い」など「やたら」という言葉を使ったことがあると思います。 不思議な言葉です。意味は秩序や節度のない様子、筋が通らないさま、むやみに、とかみだりにとか、尋常でない様子などで使います。 漢字で表記すると「矢鱈」... -
雅楽から生まれた言葉⑦【其の三十】
申し合わせ 打ち合わせと同じ意味で、前もって相談をすること。 下相談をすることをいいます。 応仁の乱以降、京では楽人の手が足りないことがあり、大阪・奈良の楽人を京に招き、演奏に参加するのだが、普段交流のない楽人たちが集まっても簡単に合わせら...