今回は現地の事を知るうえで欠かせない宗教観について書いていきたいと思います。
日本だと地域によって差はありますが、宗教に対して良いイメージや、関わりたくない雰囲気があると思います。
私も今まで、「天理教を信仰しています」とか「家が教会です」と言いづらいなと思うときがありました。
みなさんの中にも同じ経験がある人もいるのではないのでしょうか。
先月号にも書きましたが、私は台湾伝道庁の青年をしながら午前中は現地の語学学校に通っていました。
もちろんクラスメイトは、台湾に来た外国人ばかりでした。
ある日クラスで天理教のことを発表する機会がありました。
宗教の発表なんかしたら嫌がられたりするかなとか思いつつも拙い中国語で私は一生懸命発表しました。
発表が無事終わり、クラスメイトと駅に向かっていると、ある一人の子が天理教についてもっと教えてほしいと言われました。
私は日本でこんなに天理教について興味を持ってくれて自ら質問をしてもらえた経験がなかったため、日本人の宗教に対しての違いの驚きと、嬉しさとが入り混じった感情だったのを今でも鮮明に覚えています。
このように海外では、信仰というのは生活の一部になっている国が多いのです。
台湾では日本と同じく政教分離が成り立っていて、宗教の自由が認められています。
そして、一番多く信仰されているのが道教です。プロテスタントやイスラム教などほかの宗教も多いのが特徴です。
天理教も7番目くらいに多く信仰されています。
台湾のお寺は面白いところがあり、道教の神様が祀られている廟の中に仏教の観音菩薩が祀られていたり、一つの廟の中に複数の宗教の神様が祀られていることが珍しくないのです。
日本では見ることのない宗教的景観を目にすることができます。
このような背景があるからか、父がキリスト教を信仰していて、母は仏教、子どもは天理教といったように同じ家族でも一人ひとり違う信仰を持っている家庭も少なくありません。
また、台湾に行けば素食のお店をよく目にします。
素食というのは日本で言う精進料理です。
仏教などの戒律から、お肉や乳製品を一切取らない食生活を送っている方が一定数います。
ベジタリアンに優しい環境が整っていて、専門店もたくさんあって、一般のお店にも素食のメニューがたくさんあります。
バリエーションも豊富で、お肉に近い味や食感を再現された料理などもあります。
このように台湾人と宗教の関わりは深く、戒律を守り抜くなど信心深い人が多いことも特徴だと思います。
台湾の天理教の信者さんも熱心な人が多く、私も伝道庁で勤めている間たくさんの刺激をもらいました。
みなさんもぜひ台湾に行って台湾人の信仰に触れてみてください。(西澤徳彦)