鎌倉時代に書かれた楽書(雅楽の書物)に、「管絃音義」という書物があります。これは、天にある星、そして方位、時間、四季、色などを雅楽に当てはめ(コラボ)たものです。
順番に説明しましょう。
中央に位置するのが、壱越調です。壱越調は洋楽のレに近い音を基調に音階がつくられています。季節は土用。色は黄色、五行は土、品は陶。
北に位置するのが、盤渉調です。盤渉調は洋楽のシに近い音です。季節は冬。色は黒(玄武)。干支では子。五行は水。品では石。
東に位置するのが、雙調です。雙調はソの音を基調にしています。季節は春。色は青(青龍)。干支では卯。五行は木。品は竹。
南に位置するのが、黄鐘調です。黄鐘調はラの音を基調にしています。季節は夏。色は赤(朱雀)。干支では午。五行は火。品は磁。
西に位置するのが、平調です。平調はミの音を基調にしています。季節は秋。色は白(白虎)。干支では酉。五行は金。品は鉄。と比定されています。
昔は、春には春の曲といったように季節の調子(曲)しか演奏しなかったとき(時代)もあったようです。秋には平調、春には雙調といったように、決めて演奏したようです。
でも、それだと、吹きたい曲が、春の調子の曲だと秋に吹けないという事になってしまいます。そこで、渡し物という技法ができたともいわれています。 渡し物とは、移調のことです。
例えば、平調の越殿楽の曲を雙調や盤渉調に変調して演奏することです。譜本を見ていただくと分かりますが、壱越調にある曲名が、雙調などにも同じ曲名で載っています。