「Help! Help me!」
日本のとある保育園のトイレから英語で悲痛な叫び声が響いた。
駆けつけた先生が目にしたのは、和式トイレの使い方を知らず、便器にお尻がはまり、抜け出せずに泣いている田中少年であった。
私は3歳から6歳、そして14歳から18歳までの合計約8年間、父の仕事の関係でアメリカはケンタッキー州に住んでいました。
ケンタッキーという州は、アメリカの中では田舎の代表ともいえる土地であります。
私が高校生の頃、友人が「ケンタッキーにはさ、テレビあるの?www」と夢の21世紀に入ってからも都会人から質問されるぐらいの土地です。
そう言われるのも仕方なし。
アメリカの州はそれぞれ愛称があり、例えばニューヨーク州は「Empire State(帝国の州)」、カリフォルニア州は「Golden State(黄金の州)」などと呼ばれる中、ケンタッキー州は「Bluegrass State(ブルーグラスの州)」と呼ばれています。
これは土壌が肥沃で、牧草地の多くにブルーグラス(イネ科ナガハグサ属の多年草「長葉草」、芝生としても利用されているそうです)が見られたことに基づいているそうです。(出典:フリー百科事典『ウィキペディア』)
なので、ケンタッキー州は上空から見ても、空港から一歩外に出ても眼前一面に広がるのは青々とした美しい草や木々の色です。
そんな緑あふれる田舎で私は、人生の中で最も多感になる第一、第二次成長期を過ごしました。
お陰様で、同じ時間を過ごした家族から「私達とも違う、アメリカ人的な感性を持ち合わせている」と言われます。
その「アメリカ人的感性」について書くと無駄に紙面を埋めてしまいそうなので割愛しますが、行間からそんな部分も読んでいただければ幸いです(笑)
さて、この田舎のケンタッキー州では、日本には無い、「ドライ・カウンティー(禁酒郡)」という地域があります。
ドライ・カウンティーとは、酒類の販売を禁止、又は制約している地域のことを指し、宗教的な理由もあってできたと聞きました。
私が滞在している間に住んでいた地域で少し法改正があり、飲食店での酒類の提供が許可されましたが、スーパーマーケットなどお店での販売は未だ禁止されていました。
ただ、結構適当な所もあるのがザ・アメリカ。規制のない「ウェット」な隣町でお酒を購入し、自宅で飲む分に関しては違法にはなりませんでした。
余談ですが、ジム・ビームやメーカーズマークで有名なバーボン・ウイスキーは、このドライ・カウンティーの多いケンタッキー州を中心に製造されたコーン・ウイスキーの呼称なんです。
売ることもままならない地域で作るなんて、なんかスゴいですよね。
次回はもう少し生活の中から見えた日本との違いにふれて書きたいと思います。(田中敏行)