日本ではこれまで新成人となる20歳の大きな節目の年に、成人式などの行事で盛大にお祝いをしてきた。
しかし、今年度より成人年齢が約140年ぶりに18歳に引き下げられたこととなった。
今後成人式がどのように行われるようになるのかは興味を惹くところである。
ところで、オーストラリアの成人年齢は18歳で、誕生日には新成人を祝うのが風習だ。
しかしながら、それ以上に盛大に祝うイベントがある。
それが「21st」と呼ばれる21回目の誕生日だ。
なぜか。諸説あるようだが、約50年前までは21歳が成人の年として扱われていた名残が今に続いていると考えられる。
今回は、私が参加した大学時代の親友の「21st」に注目したい。
まず第一に驚く点は、パーティーを企画するのは誕生日を迎える本人だということ。
日本では主役のために友人などが会場を手配をしたり内容を相談したりするのが通常ではないだろうか。
パーティーには友人はもちろん、家族や親戚も一斉に集う。
会場は自宅や地域のコミュニティーセンターなどを借用する場合が主流のようだが、私が参加した21st は、バーを貸し切って行われた。
レンタル代はもちろん、お店には前もってドリンク代やフード料金が主催者により支払われる。
そして、いずれも追加注文は参加者が支払うという仕組みだ。如何にも海外らしい。
様々な人達とお酒を交わしながら会話を楽しんだり音楽に合わせてダンスをしたり、海外の「ザ・パーティー」をイメージしてもらえればわかりやすいだろう。
また、パーティーによってはテーマを定められている場合もある。
例えば、「ディズニー」というようなテーマであれば、ディズニーキャラクターを装って参加をする。
テーマ設定がない場合は、セミフォーマル(準正装)が基本とされている。
会場が盛り上がりを見せる頃に行われるのは、恒例のスピーチ。
幼少期からの親友や大学の仲間、叔父叔母や両親などが順に誕生日を迎えた本人との思い出話を披露する。
笑えるようなエピソードや、誰も知らない暴露話、時には感動で涙を誘う場面もある。
私はこの重要な役割を、ベストフレンドのパーティーで務めることになった。
わずか数分の出来事だったが、親友のために英語で代表スピーチを行う経験ができたことはとても光栄なことだ。
振り返ると私にとって留学生活は辛く寂しく悩んだ日々のほうが僅かに多かったように思う。
しかし、今ではかけがえのない宝物だと自信を持って断言できる。
チャンスがある方には是非とも海の向こうの世界を訪れてもらいたいと願う。
自らの常識を覆され心が折れることもあるだろう。
だが、私はそのおかげで心の器を広げていただいたように思う。
人種も文化も違うお互いが世界一れつきょうだいの自覚を持つには「違い」を知り、受け入れることがとても大切である。
海外渡航経験を活かし、これからも陽気ぐらしへの歩みを進めていきたい。(中田大安)