雅楽では、高い音のことを甲音(こうおん・かんおん・セメ音のこと)と言います。
逆に低い音のことを乙音(おつおん・フクラ音)と言います。
このことから、高い声などを「かんだかい」というようになったとのことです。
甲と乙では、一オクターヴの違いがあります。
そして、甲の反対が乙で、乙には渋みのある独特の雰囲気があるところから「乙な声」という表現になったようです。
なお、「乙なもの」という言葉の語源は二つあると言われています。
一つはいまの雅楽からきた。という説。
あと一つは十干の二番目の「乙」からきている。という説です。
十干は、甲 乙 丙 丁と続きます。
甲は一番であり、乙は二番目です。一番もいいが、二番もなかなかのものだということから、二番もいいね、という意味から「乙なものだ」という使い方がされた。というのです。
まだまだ雅楽から生じた言葉はあると思います。
が、この辺でこの項を終わります。
言葉の語源、これほど考えさせられるものはありません。
大変に興味深いものです。
例えば、簪という言葉があります。辞典によれば、髪挿 しという言葉からきている。とあります。
しかし、平安時代冠や髪に挿す花や飾りのことを「挿頭 」といっていました。
雅楽でも舞楽のときに、冠に花などを挿して舞っていることは知られております。
かざし=かんざし、も考えられると思います。
源氏物語の紅葉賀にも挿頭が出てきます。
「かさしの紅葉、いたう散りすぎて」とあります。
このように色々と調べてみれば面白いと思います。