また話はそれますが、江戸時代の曲亭(滝沢)馬琴の「燕石雑志」に面白いことが書かれていますので、紹介しておきましょう。
「桃太郎、鬼ヶ島は鬼門を表せり」とあります。
鬼門は北東=丑寅の方角であり、鬼たちは、丑の角を持ち、虎のふんどしをしています。
更に、「之に逆するに、酉の方 申・酉・戌をもってす」と書かれています。
之に逆するに、とは北東の反対の方角=裏鬼門=南西(未申)、にあたります。
南西の方角から桃太郎は鬼を懲らしめに向います。
管絃音義では、南は赤、西は白です。
ですから南と西の間、南西は桃色になります。
ようするに、桃太郎の出番となります。
そして、星宿の運行により時計回りに鬼ヶ島に向います。
出会うのは申、酉、戌です。
おとぎ話では出会う順序が違うと思いますが、とにかく、この三匹をお供に鬼ヶ島に行き、鬼を懲らしめてめでたしめでたしとなるわけです。
雅楽の世界だけでなく、色んな処にその思い(管絃音義)が活かされているようです。
平安京の都市計画にも、御所を中心として、東西南北の寺院の梵鐘は、雙調、平調、黄鐘調、盤渉調に定められた。とも聞いています。
いかがでしょうか。
相撲も雅楽と縁が深かったようです。
土俵は四神(玄武、青龍、朱雀、白虎)に守られています。
昔は、相撲の節会が行われ、東の力士が勝てば左舞。
西の力士が勝てば右舞が舞われ勝ちを祝ったようです。
行司も雅楽の装束(直垂)を着ていると言われています。
平安時代の貴族などの人々にとって、雅楽は生活の一部であったことは間違いありません。
否、今日、私たちが音楽に親しむ以上に日常の生活に密着していたに相違ありません。
源氏物語や枕草子などを見れば良くわかります。
このことは、いづれこのシリーズが続けば書いてみたいと思っています。