陽気なフィリピンの人々を訪ねて【村田明彦①】

三十六年間の人生で約二年半海外で生活させて頂きました。

そのうちフィリピンで過ごした一か月のお話をさせて頂きます。

フィリピンは正式にはフィリピン共和国といい、七千以上の島からなる島国です。

言語は公用語としては英語とタガログ語という母国語が話されていますが、それ以外にもいくつかの言語があり、タガログ語で意思疎通のできないこともあります。

またアメリカとスペインの統治下にあった為、英語とスペイン語両方からの借用語も多く、発音や語彙に共通するところもたくさんあります。

私の感想ですが、総じて男性のほうがスペイン語の訛りが強く、例えばBrother(兄弟)という発音でも、「ブラザー」と発音する方もいれば、「ブラザル」と、rをルと発音するスペイン語訛りで英語を話してくる方もいて、最初は慣れるまで意味が理解できなくて戸惑うこともありました。

しかし、そんな戸惑いをすぐに吹き飛ばす程に、フィリピンは魅力に満ち溢れた国でした。

首都圏のマニラには、世界遺産に登録されているサン・アグスチン教会や、壮大なマニラ大聖堂などバロック様式の建築物とスペイン植民地時代の建物、そして近代的なビルが入交り、とても美しい景観を生みだしています。

建築物の窓には、カピスと呼ばれる美しい貝細工が使われており、土産物としても貝細工の箱やランプ等が売られています。

私も当時購入した貝細工の箱を、今でも御供米を保管するのに使っています。

現地の友達とバスケの試合後の様子

経済的に日本との格差は大きいです。

当時大学生がだった私が、学生カードに付いていたクレジットカードでお土産を買う時に、頭の中で円換算しながら、カゴにお土産を入れてレジに持っていくと、案内してくれたホストマザーが目を見張って、日本の大学生はアルバイトでいくら稼げるの?と聞かれました。

後で色々考えて、とても申し訳ない気持ちになりました。

では一番のこの国の魅力はなにか、それは(私見ですが)間違いなく人柄です。

陽気でフレンドリーで、家族や親族のつながりをとても大事にします。道行く誰に話しかけても気さくに応じてくれて、コミュニケーションをすることに戸惑う人に出会ったことはなかったように思います。

日本から来て一番強く感じたのは、人の繋がりの濃さでした。

総じて、暮らしは遥かに日本の方が豊かですが、私の出会ったフィリピンの人々は、日本人の何倍もよく笑い、互いに声を掛け合い、笑顔で生活し、そこには物質的な豊かさではなく、家族や親族が繋がりを大切にする精神的な豊かさがありました。

私は単純にそのことに感動して、日本人が忘れた何かがあると仲間と話し合ったことを覚えています。

今でもフィリピンの友達とFacebook で連絡をとっていますが、いつかまた会いに行きたいです。(村田明彦)