行ってみないとわからない!【北野雄始①】

「決意のコーヒー編」

学生時代、父から常々海外へ行くよう勧められていましたが、毎日の生活が充実していたこともあり、父の言葉に聞く耳を持てませんでした。

そんな私に、25歳の時、初めての海外、台湾へ行く御用を頂きました。

上空から目にする台湾の地に始まり、桃園空港に着いた瞬間から感じる日本ではない独特な香り、車窓から覗く台北の街並みにワクワクが止まりませんでした。

台湾には親戚がおり、幼いころからお土産で食べ物をもらったり、中国語を耳にしたりと、触れる機会があって、諸外国に比べて台湾は、何となく身近に感じていたというか、特別感はありませんでした。

しかし、実際に行ってみると、飛行機でたった2、3時間の場所なのに、街の雰囲気、目にする文字、走っている車に、聴こえてくる言語など、五感に触れる全てから「ここは日本じゃない」という衝撃を受けました。

到着してからずっと、大きなワクワクと同時に、初体験ばかりで不安もあったのかもしれません。

ホテルの前に、日本の大手コンビニチェーン店を見つけ、何が欲しいわけでもなく安心を求めて入りましたが、コンビニの中でさえ、日本で行き慣れたコンビニではありませんでした。

当たり前のことばかりですが、初めて海外に出た僕にとっては全てが新鮮でした。

当時撮った写真を見返してみると、何でこんなん撮ったんやろうとツッコミたくなるような写真ばかりですが、些細な風景一つひとつがその時の僕にとっては大切な一瞬だったのだろうと思います。

龍虎塔にて

この渡航を機に海外に興味を持つようになり、「チャンスがあれば海外に行きたい」と思うようになって2年後、大教会の雅楽部の御用で再び台湾を訪れる機会を得ました。

その際に、初めて異国での単独行動を経験しました。

各所で演奏会を終え、帰国の際、一緒に訪れた面々をホテルのロビーで見送り、私は親戚の教会へ訪問するため1人残りました。

とりあえず一息つこうと、コーヒーを飲んでふと冷静になった時、見知らぬ土地で言葉もわからない中1人になったという現実は、想像以上に不安でした。

このコーヒーを飲み終えたらホテルを出よう、と覚悟を決めた記念に撮ったコーヒーの写真は今でも大切な1枚になっています。

目的地へのメモを頼りに漢字だらけの看板の意味を何となく読み取り、台湾新幹線に乗って親戚宅の最寄駅へ。

駅に着いたら電話するよう言われてましたが、ここまで無事にたどり着けたことに気が大きくなり、タクシーの運転手に住所を見せ親戚の教会へ到着。

その日の夕食時に、ほんの数時間の一人旅だったが充実した時間だったと、喜んで話していると、タクシーでだいぶ遠回りをされて倍以上の値段をぼったくられていたことが分かりました。

海外あるあるというか、これも含めて、初めての海外、台湾で自分の人生観が変わる良い経験をさせてもらいました。(北野雄始)