すみきりましたがむねのうち【最終回】

この連載が始まってからおおよそ2年半が経ちました。

スタートの記事には、私の幼少期と高校時代を過ごしたアメリカのことを書かせていただきました。

高校を卒業してその後、私は日本に帰っていろんなご縁を頂き、オーストラリアやヨーロッパ諸国などアメリカ以外の国にも渡航する機会を頂きました。

4年前、父のところに神実様を祀るため、パキスタンに訪問しました。

パキスタンはカラチに向かったのですが、飛行機から街並みを見ようと窓を覗くと、砂埃に阻まれ地上を見ることができませんでした。

父によると、砂埃はほぼ常に舞っており、中にはPM2.5以上に細かい埃が普通に舞っているそうで、マスクは一応しているがあまり効果はない、とのこと。

空港に降り立ち、父の車に乗って街の中を走ると、交差点で停車するたびに声をかけてくる物乞いの人々、無造作に張り建てられた電線と電柱、街の要所々々に立っている銃を携えた傭兵など、日本ではまず見ることのない風景が広がっていました。

父は、セキュリティがしっかりした、比較的裕福な方が住まわれるであろうマンションを借りていたのですが、そんな所でも蛇口から出る水は臭く錆びた色をしており、部屋も隙間だらけで外の下水のような悪臭が入ることがありました。

日本以外の国では基本、蛇口から出る水が飲めるという常識は通用しなくなります。

国によっては、前述したパキスタンの様に「水が透明である」ということですら当たり前ではなくなります。

人が生活する上で「水」は欠かせない存在。その水が綺麗で安全であるというだけで、どれだけ安心した生活を送ることができるでしょうか。

私たちの心も同様、澄んだ水のような心であれば人々に安心を届けることができるはず。

この水をはやくすまするもよふだて すいのとすなにかけてすませよ 三号 10

このすいのどこにあるやとをもうなよ むねとくちとがすなとすいのや 三号 11 

この度の連載でご執筆いただいた青年会員の方々の記事を読み、改めて世界の広さを感じ、海外渡航への意欲がさらに増しました。

日本国内でもまだまだ知らないことはいっぱいあり、世界となれば想像もつかないようなこともあると思います。

しかし、私たちが信仰するこの道の教えは「世界たすけ」を謳っています。

人一人の手が届く範囲の世界は意外と狭いものですが、人と出会い、手を取り合い、互いに立て合い助け合いながら協力していく中にその届く範囲は無限に広がり、真の世界たすけ、陽気ぐらしが成されていくと思います。

普遍的な親神様・教祖の教えを胸に携え、人々と言葉を交わしながら、いつまでも成人の歩みを進めたいものです。(田中敏行)

本コラム「One World, One Family ひろいせかいやくになかに」は今回をもって終了です。
ご愛読いただきありがとうございました。