さて、奏楽の話に入って行きましょう。
祭典で楽人が所定の位置に着席いたします。ほとんどの教会では中段でしょう。座る序列は、鞨鼓・太鼓・鉦鼓・琵琶・筝・笙・篳篥・龍笛の順です。
そして、まず音取が奏されます。この音取というのは、洋楽で言うチューニングですが、雅楽では、只単に単音を出して音合わせをするのではなく、短い曲を演奏します。
これは、これから演奏する調子 を人々に知らせると共に、その音形を感じてもらう役割も持っています。そして、宮音(基調となる音)と徴音(和音になる音)を中心に構成されています。
音取は、まず笙の音出しから始まります。笙の音に合わせて篳篥が吹き出します。その篳篥の音に合わせて龍笛が吹き出すと鞨鼓が打ち始め、笛と鞨鼓が終わる寸前に琵琶の一絃が入り、以降琵琶と筝の演奏があり、最後に筝が宮音を弾いて音取が終わります。
音取は、各楽器の兼ね合いの中で演奏されますので、とても趣おもむきの深いものです。じっくりと聞いてみてください。それに、演奏団体の技量もよく分かるものです。素晴らしい演奏だと、音取だけでも感動します。
さて、調子ですが、雅楽には現在六つの調子があります。壱越調・平調・雙調・黄鐘調・盤渉調・太食調ちょうの六つです。
分かり易く理解をするとなると、この調子というのは、洋楽(西洋音楽)で言うと、ハ長調・へ長調・イ短調等々のようなものだと思って下さい。
昔はもっと多かったのです(枝調子というものがありました)が、近年この六つの調子に集約されました。
さらに、昔の人は何事も理論で固めることも好きなようでした。雅楽もその範疇に入っていたようです。
次回では、そのことに触れてみたいと思います。