
台湾で留学生活を送る中で、にをいがけにも行かせていただきましたが、日本とは大きく異なる宗教観に驚きました。
繁華街で神名流しやよろづよ八首てをどりをしていると、物珍しさからか写真を撮っていく人、路傍講演をしていると、立ち止まって聴いてくださる人で囲まれそうになった事もありました。
日本では、にをいがけをしていると大方の人は、無関心とばかりに通り過ぎて行きますが、台湾は宗教に対してとても開放的でした。
台湾には道教や儒教の廟が沢山あり、仏教寺院やキリスト教の教会も多く、いつでも大勢の参拝客で混雑していました。
台湾人は何かあれば直ぐにお願いをしに行くと現地の友人に聞いたこともあり、台湾の人々の生活に信仰が深く根付いているんだと感じました。
また私が天理大学の学生だと分かると、お道の教理について説明を求められた事もあり、日本では有り得ない事に驚いたと同時に大変嬉しく思いました。
台湾で過ごす中で、日本に対する考え方も大きく変わりました。
台湾は日清戦争後から太平洋戦争の終戦まで、日本の植民地支配下にありました。
その事から台湾人は日本に対して悪い印象を持っていると思っていました。
しかし実際は、今の台湾の発展は日本のお陰だと言ってくださる親日的な方々が多く、大変驚きました。
確かに日本は台湾を植民地として統治し、太平洋戦争では台湾人を徴兵した事実もありますが、疫病が蔓延する未開の地だった台湾を日本本土と同水準までに近代化を進めたのも日本でした。
しかし、戦後になって中国大陸から国共内戦に敗れた中国国民党が入って来ると、それまでの日本統治を徹底的に弾圧、排除しました。
それでも台湾の人たちは日本の事を忘れず親日的に思っていてくれていたのです。
そんな事は日本の歴史の授業で勉強しませんでしたので衝撃を受けました(私が授業に集中しておらず聞いていなかったかもしれませんが…)。

また同時に、もっと台湾について知りたいと強く思うようになりました。
私が台湾での生活を通して痛感させられた事は、行ってみないと分からない事が沢山あるという事です。
今やスマホ一つで世界中のニュースを簡単に大量に調べる事ができます。
また自宅にいながら世界旅行をする事も可能な時代となりました。
しかし画面越しに得る情報では、現地の人々の空気感や生活感を感じることはできません。
こればかりは行ってみないと分からない事です。
日本とは違う、日本での当たり前は通用しないという事を体感することで、改めて日本の素晴らしさや逆に反省すべき点を学ぶ事が出来ますし、おぢばから離れた事で今まで分からなかった親神様の御守護を感じる事も出来ました。
台湾で過ごした1年間は今までの自分の中での考え方を大きく変えるきっかけになりました。(石見 元信)