バンコク全50区おたすけマップ【橋本孝介①】

今から5年前の2017年2月に、青年会海外人材派遣生として、私はタイの首都バンコクにある天理教タイ出張所で青年勤めをスタートしました。

お道の御用に加え、出張所が開く日本語教室や少年会の鼓笛練習、日本文化体験など、様々なことをさせていただきました。

その中でも"布教活動"は、重要な勤めであり、人材派遣の一つの大きな目的でありました。

「バンコク50区全てで"おさづけ"を取り次がさせて頂こう」 立教181年に迎える青年会創立100周年に向けて、タイ青年会で掲げた目標です。

文字通り、バンコクは全50区に分けられており、商業施設、観光スポットが立ち並ぶ栄えた区もあれば、都心からは離れた比較的田舎の区もあります。

現在までに、タイで布教をされた先人達が50区全てでおさづけを取次がれたかどうかは、定かではありませんが、当時の私たちにとっては大きな目標でした。

布教活動に関して、私は正直好きな方ではなく、国を問わず、門前払いをくらう度に落ち込むようなタイプでした。

ただ、この目標を聞いた際、派遣最終年を迎えていた私は「せっかくタイに来たのだから、やることやって、日本に帰ろう」と思い、教友と共に布教をスタートさせました。

まず、所長先生と相談し、休憩時間に毎日布教に歩き、加えて初参拝者を5人ご守護頂くという個人目標を定めました。

夕方の神殿掃除まで休みを頂いた日には、都心から離れた区へも行きました。

初参拝者との記念撮影

毎日布教活動に歩き、様々な場所でおさづけを取り次ぐ中で、私がいつも感じていたことがありました。

それは、“教祖”の存在です。

今日一人で向かう場所がどんな場所なのかを知らないまま行くので、時には日本ではなかなか遭遇しない環境、雰囲気の場所に出くわすこともあります。

ビビりの私は、目的地に着いて布教をスタートする際に、四拍手をたたき、胸の御守りに「今日も一日お願い致します」と手を当てておりました。

これがあらきとうりようか、と得意げに感じておりましたが、その御守りが私の心の支えであったと、今は感じております。

会員のみなさんの積極的な布教活動もあり、青年会総会日までにそのマップを完成させることができました。

このマップは、出張所内に飾られ、恐らく青年会員以外の方々の心の勇みにも繋がったと感じております。

私といえば、個人目標である初参拝者5人を期間内に達成できなかったので、帰国日まで一人で続けることにしました。

他にも続ける理由があり、実際に現地の方々と話すので、語学力と度胸を付けるなどもありましたが、一番の理由は、おたすけを通して様々な環境の方々とお話がしたかったということです。

多くの方々と出会い、最終的になんとか目標を達成しました。苦しい境遇の方とお話しする機会が多く、無力さを感じることも多々ありましたが、“誰かのために祈る”ことを知っている私は、もしかすれば幸福なのかもしれないと思いました。(橋本孝介)