担当者のつぶやき
「ドラえもん」か「さつきとメイ」か

 藤子・F・不二雄氏が描く「ドラえもん」は、科学技術の発達した未来からやってきて、さまざまな道具を駆使してみせる。すでに現代はテレビ、パソコン、携帯電話、エアコン、電磁調理器と便利な道具を使っているが、ドラえもんはまだまだもっと便利でしかも人に優しい道具をポケットから次々と出してくれる。

 かたや宮崎駿氏のアニメ「となりのトトロ」に出てくる二人の少女が「さつきとメイ」である。このアニメの年代設定は昭和30年代であり、科学技術の便利さが入り込む前の日本の田舎の様子は、それだけで心の豊かさを表現しているようだ。薪を庭から拾い集めてお風呂を沸かし、お父さんと一緒に入るちょっと広めのお風呂は、田舎暮らしの良さを象徴している。

 さて、このアニメの主人公達のどちらを選ぶのか、と問題提起をしているのは、国立環境研究所などの研究チームが提起した、未来の低炭素社会のモデル「ドラえもん型」と「さつきとメイ型」の二つのシナリオである。

 経済発展や技術志向が強い未来像を示す「ドラえもん型」では、活発で回転の速い社会で、人口は都市に集中し、高断熱・オール電化住宅など省エネルギー技術の発達と、二酸化炭素の地下貯留技術の開発などで、二酸化炭素排出の70%減は可能だとする。

 一方の「さつきとメイ型」は、地域重視や自然志向を想定し、物質的豊かさから脱却して地方へと人口回帰が進み、ゆったりした暮らしの中で、バイオマスや太陽熱の利用で低炭素社会を実現するという。

 この2つのシナリオのどちらにも実現の可能性はあると研究チームは提起するが、その実現には政府の強い指導力が必要だと締めくくっている。

 最後の「政府の強い指導力」という言葉に、他人事のように感じさせる響きを感じて私は引っ掛かってしまうのだが、50年先には到底生きてはいないだろうという老い先短い私も、他人事などとは決して思わず、強い指導力を発揮せねば、と思うことが大事なのだろうか?