前川きよしげ
法律相談



  離婚G


離婚後の親子、特に母子家庭における経済的な問題に関連して、今月は児童扶養手当について説明します。

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1【母子家庭の現状】

 前回紹介しましたが、母子家庭の母の平均稼働所得は164万円に過ぎません。加えて、平成15年の厚生労働省の調査によると、養育料の取り決めをしている所帯は34パーセント、さらに実際に養育料を受け取っている所帯は僅か17.7パーセントです。

 母子家庭の母が一所懸命働いても所得が乏しい上に、父から養育料が支払われていない現状を考慮すれば、一般的には母子家庭の生計は極めて厳しいと言わざるを得ません。


2【児童扶養手当】

 (1) 離婚による母子家庭など、父と生計を一緒にしていない18歳未満の子どもが育つ家庭に対して、その生活が安定するように、また子どもの福祉のために、母あるいは子どもの養育者(子どもと同居し、養育し、生計を同じにしている者)に「児童扶養手当」が支給されます。

 (2) 支給される要件は、
  @18歳未満の子どもが育つ、
  A母子家庭
  です。
 もちろん、母子家庭は離婚の場合に限らず、父が重度の障害を負った場合、父から遺棄された場合、母が結婚せずに子どもを出産した場合なども含まれます。父が死亡した場合も支給されますが、遺族年金と併給されません。
 また「18歳未満」とは、正確には子どもが18歳の誕生日を迎えた後、その次の3月31日までです。平成18年の4月1日に18歳になった子どもであれば、平成19年3月31日まで支給されます。

 (3) 支給額はその所帯の収入によって異なりますが、子どもが1人のケースでは、年収が概ね130万円までの所帯には月額4万1720円が支給されます(平成19年度)。収入の増加に応じて徐々に減額され、年収が概ね365万円の所帯には9850円が支給されます。それ以上に収入がある所帯には支給されません。

 なお、概ね130万円、概ね365万円と書いたのは、正確には「年収」ではなく、年収から給与控除(38万円)、扶養控除(子どもが1人であれば38万円)、寡婦控除(27万円)、社会保険料相当額として8万円等を差し引いた上に、養育料が支払われているときは、その8割を加算して算出した「所得」を基準に支給額が決定されるからですが、目安として分かりやすいように収入ベースで紹介しましたので、この点をご承知置き下さい。

 また支給額についても、全額支給の場合、子どもが2人なら4万6720円、3人なら4万9720円、以降1人増える毎に3000円ずつ加算されます(130万円以上の収入があれば、収入の増加に応じて徐々に減額されることは子ども1人の場合と同様です)。    
 なお、支給の窓口は市役所の福祉課です(奈良市役所では保健福祉部子育て課、橿原市役所では児童福祉課という具合に名称は若干異なります)。
 詳細はお問い合わせ下さい。

(4) ところで、平成14年、小泉内閣は、母子家庭支援に関して「給付」を削り、「就労を支援」する政策に舵を切りました。その結果、平成20年4月以降、受給期間が5年を超える場合には、支給額が最大2分の1減額されてしまいます。
 例えば、月収10万円のお母さんが、1人の子どもを養育している場合、現在では月額4万1720円の児童扶養手当が支給されていますが、来年の4月以降は半額の2万0860円に削られてしまいます。

 この政策変更の背景には離婚が増加し、児童扶養手当の支給額が増大したことが挙げられますが、私は正しい選択だとは思いません。
 既に母子家庭の母の83パーセントが就労しておられます。病気や子どもが幼いなどの事情で働くことのできない方も当然にいらっしゃいますから、これ以上の「就労支援」とは一体何を指すのでしょうか。
 むしろ、就労しているお母さんのうち正規雇用は39パーセントに過ぎない現状を改善すること、すなわち「格差」の解消こそ大切だと、私は考えています。