離婚F 4〜8月号に引き続いて、次の事例に基づいて、調停離婚、裁判離婚についてご説明します。 ⇒ 離婚Eへ戻る 離婚Gへ進む
A.及び解説 A夫さんとB子さんが離婚しても、A夫さんとC君とが親子であることに変わりはありません。したがって、C君が大人になるまで養育に必要な費用を負担することは、父であるA夫さんの当然の義務です。 しかし、実際のところ、離婚後の親子、特に母子家庭にあっては経済的な問題が極めて深刻です。 近時、離婚が増えています。平成17年におよそ71万4200組が結婚して、およそ26万2000組が離婚しています。その結果、母子家庭は122所帯に達し、およそ192万人、子ども達の約8パーセントが母子家庭に育っています。 ところが、平成16年の厚生労働省による調査でも、母子家庭の母は83パーセントが就労しているにもかかわらず、その平均稼働所得は164万円に過ぎません。その理由には、就労している母のうち正規雇用は39パーセントに過ぎないことが挙げられます。 離婚後の養育費の負担については、「監護について必要な事項」であり、本来は離婚時に決定されなければならないはずです(民法766条1項)。 ところが、離婚のおよそ9割を占める協議離婚に当たっては、離婚届の提出だけで離婚が成立し、離婚届には子の親権の所在については記載欄があるものの、養育費については記載欄はありません。よって、養育費の合意がなくても離婚届では受理されてしまい、離婚時に夫婦間で養育費の負担をきっちりと定める制度的な保障はありません。 また、仮に離婚時、夫婦間で養育料を合意したとしても、@合意通りの支払が続くか(何時まで約束通り支払ってもらえるのか)、Aその合意額が適正で、子どもの福祉を損なっていないか(例えば、早く離婚したいために、僅かな養育料に同意したケース)、という問題が残ります。 ですから、協議離婚であっても、離婚に先立って、B子さんは、A夫さんとC君の養育費について、毎月、何日に、いくら振り込んでもらうのか、きっちりと約束して、できれば公正証書を作成しておくべきでしょう。 公正証書を作成しておけば、A夫さんが約束を反故にして、養育料を支払わない場合、裁判をすることなく、A夫さんの財産や、給料を差し押さえることができます。公正証書は公証人役場で作りますが、公証人役場は、奈良県下では奈良市と大和高田市にあります。 A夫さんが負担する養育料の額は、離婚後もC君がA夫さんと同程度の生活を維持するための生活費です。「生活保持義務」と呼ばれています。したがって、実際にA夫さんが支払うべき金額は、A夫さんの収入とB子さんの収入との相関関係によって決まります。すなわち、A夫さんの収入が多ければ、A夫さんが支払うべき養育料は多くなりますし、B子さんの収入が多ければ、C君はB子さんの収入で暮らしていけるので、A夫さんが支払うべき養育料は少なくなります。 この点で、大阪家庭裁判所は、養育料の算定表を公表しています。 そのまま引用することは著作権の関係で不可能ですが、何例かご紹介します。 @ 14歳以下の子どもが1人(C君だけ) A夫さんも、B子さんも給与所得者 A夫さんの年収は500万円、B子さんの年収は200万円であれば、 養育料は月額4万円ないし6万円 A 14歳以下の子どもが1人(C君だけ) A夫さんは自営業者で、年収250万円 B子さんは無職、無収入であれば、 養育料は月額2万円ないし4万円 B 子どもは2人で、1人は15歳以上、もう1人は14歳以下 A夫さんも、B子さんも給与所得者 A夫さんの年収は600万円、B子さんの年収は100万円であれば、 養育料は、2人分併せて月額8万円ないし10万円 塾や授業料等、近時とりわけ教育費が嵩みますが、以上のように、たいていの場合、養育費だけでは到底十分な子育て費用を賄うことはできません。 |