離婚C 4、5、6月号に引き続いて、次の事例に基づいて、調停離婚、裁判離婚についてご説明します。 ⇒ 離婚B へ戻る 離婚Dへ進む
A.B子さんは離婚に応じる義務はありません。 離婚するか、しないかはB子さん次第です。 解説(前号からの続き) 1【婚姻を継続し難い重大な事由】 前回(6月号)、裁判所が離婚を認める5つの原因のうち(民法770条1項)、@不貞行為、A悪意の遺棄を中心に、4つの原因についてご説明しました。今月は、実際に裁判では最も多く引用される「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」についてご説明します。 「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」とは、一言で言うと、夫婦生活が深刻に破綻してしまって、もう元に戻る見込みのないことを言います。有責性、すなちわ、どちらか一方に落ち度があるか、否かは問いません。夫婦の行為や、態度、結婚生活を継続する意思の有無、性格等、その結婚生活に現れた一切の事情を考慮して判断されます。例えば、暴力や虐待、重大な侮辱、正当な理由のない長期間の別居、働かないことや、浪費やギャンブル、理由のない借金、犯罪、親族との不和(嫁いびり等)、性的異常、性交渉の拒絶等が裁判では認められています。 2【性格の不一致】 しばしば離婚の理由として「性格の不一致」が挙げられますが、性格の不一致は多かれ、少なかれどの夫婦でもあることです。それ故、ただ「性格が合わない」というだけでは、 「婚姻を継続し難い重大な事由」に認められません。 裁判例としては、卑俗なものを嫌悪し、高い水準の知的生活を希望する夫と、平凡、平和な家庭生活に満足する妻との生活観、人生観の隔絶したケースや(東京高裁昭和54年6月21日)、夫婦双方が相手方の長所、短所を見極めて、適当なところで妥協することができず、このため、些細なことで口論が絶えず、別居後も改善の兆しが見えない場合(東京地裁判決昭和59年10月17日)等に離婚を認めていますが、夫婦双方が反省し、努力することで、将来円満な家庭を回復できる見込みのある場合には離婚を認めていません(最高裁判決昭和38年6月7日)。 3【不受理制度】 離婚は、夫婦の合意(協議離婚と調停離婚)か裁判所の判決によって成立しますが、いずれの場合も市役所に届け出て、戸籍に記載してもらう必要があります。特に協議離婚にあっては夫婦の合意だけでは法律上は離婚が成立しておらず、届け出ることによって離婚が成立すること、既に5月号でご説明した通りです。 逆に言いますと、どちらか一方が離婚に同意していないのに、他方が無断で離婚届を提出してしまえば、戸籍上は「離婚」したものとして扱われてしまいます。普通はあまり考えられないでしょうが、例えば、妻も一旦は離婚に同意し、離婚届に署名し捺印して、離婚届を夫に預けたけれども、妻はその後気が変わってしまったにもかかわらず、夫がそのまま離婚届を提出してしまうことはしばしば起こります。届け出た時に離婚の意思がないと、その協議離婚は無効です。したがってこのケースでは、妻は家庭裁判所に離婚無効の調停を申し立てることが可能です。 しかし、そうなる前に、法務省の通達があり、市役所に対して離婚届が提出されても受理しないよう申し出ておくことができます。市役所に行って所定の用紙を提出すれば6ヶ月間は受理されません。また今年4月27日に戸籍法が改正され、不受理制度が整備されました(戸籍法27条の2)。これによると、6ヶ月間の期限は設けられていません。 |