前川きよしげ
法律相談

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「交通事故の法的責任」

Q.自動車を運転していたときに、ついウッカリしていて交通事故を起こしてしまい、歩行者にケガをさせてしまいました。 どのような責任を負わなければなりませんか?

A.民事責任、刑事責任、行政責任の3種類の法的責任を負います。

【解説】
 1(民事責任)
民事責任というのは、被害者の損害を補償する責任です。損害賠償を支払う義務と言うこともできます。問のケースでは歩行者のケガの治療費や、通院交通費、ケガで仕事を休んだならば、その間の休業補償、もしも後遺症が残ってしまったならば、後遺症の程度に応じた慰謝料と、後遺症によって得ることができなくなった収入(これを「逸失利益」と言います)などを賠償しなければなりません。
 もっとも、昨年の5月号でもご説明した通り、被害者側にも落ち度があった場合、「過失相殺」と言って、被害者側の過失の割合に応じて、賠償額は減額されます。
被害者の後遺症の程度が重い場合は、賠償額も多額になります。ですから、万が一にも交通事故は起こしてはなりませんが、万が一に備えて、強制保険(自賠責保険)だけでなく、対人無制限の任意保険にも加入しておくようにお勧めします。昨年の8月号でもご説明した通り、任意保険に加入していたら、「示談代行」と言って、保険会社が、加害者に代わって、被害者との示談交渉を担当してくれます。

2(刑事責任)
  刑事責任というのは、自動車運転過失致死傷罪(刑法211条2項)あるいは危険運転致死傷罪(刑法208条の2)等によって懲役や罰金を科せられてしまうことです。

 (1) 自動車運転過失致死傷罪
  自動車の運転に必要な注意を怠って、誰かを傷つけたり、死亡させたときは7年以下の懲役や100万円以下の罰金が科せられます(刑法211条2項)。以前は交通事故に関しても業務上過失致死傷罪(刑法211条1項)によって処罰されていましたが、平成19年の改正で自動車の運転に特化したこの自動車運転過失致死傷罪が追加されました。

 (2) 危険運転致死傷罪
 悪質な飲酒運転や無謀な高速運転等を厳正に処罰するため、平成13年、新しく危険運転致死傷罪が創設されました。その結果、
@酩酊運転(酒や薬物を飲んで正常な運転が困難な状態での運転)
A高速度運転(進行を制御することが困難な程の高速度で運転)
B未熟運転(無免許運転のように進行を制御する技能を有していない者の運転)
C妨害運転(幅寄せやあおり行為等進行を妨害するために走行中の自動車の直前に進入したり、著しく接近したり等)
D信号無視運転(赤信号を無視した運転)
 によって交通事故を起こし、誰かを傷つけたときは15年以下の懲役に科せられます。もしも死亡させたときは1年以上の懲役が科せられます。この場合、上限は20年です。したがって、酒を飲んで、酔っぱらっているのに、つい自動車を運転してしまって交通事故を起こし、誰かを死亡されてしまったなら、最長で20年も刑務所に入らなければなりません。「飲んだら、乗るな」は絶対に守って下さい。

3(行政責任)
交通事故を受けると、公安委員会から運転免許の停止や取消しなどの処分を受けます。これが行政責任です。