『教祖伝逸話篇イマジネーション』
                        絵と文 村方米太

 

ある日、立花善吉は、大阪から歩いておぢばへ帰って来た。こうして、十里の道のりを歩いて、ようやく二階堂村まで来た。

そこで、もう一辛抱だと思うと、おのずと元気が出て、歩きながら得意の浄瑠璃の一節を、いかにも自分で得心の行くように上手に語った。が、お屋敷に近づくと、それもやめて、間もなく到着した。

こうして、教祖にお目にかかると、立花を見るなり、「善吉さん、良い声やったな。おまえさんが帰って来るので、ちゃんとお茶が沸かしてあるで。」と、仰せになった。 

立花は、肌えに粟する程の驚きと、有難い嬉しいという感激に、言葉も出なかった。

善吉さんが、山坂を越え、松林の向こうに広がる田畑の先にお屋敷が見えた時、自然と浄瑠璃の一節が出てきたのでしょう。のびのびと声を張り上げる善吉に、道行く人々やお百姓さんが、思わず聞き惚れている様が浮かんできます。

その、善吉さんに教祖が「良い声やったな」と仰せになったのに、驚きと感動が同時にやってきて「肌えに粟する」ほど胸が熱くふるえ、有り難さいっぱいでいただく一ぷくのお茶に善吉は幸せな気分で、おぢばでの一日を過ごされたことでしょう。

教区報より