非嫡出子(婚外子)の法定相続分(その1):前川きよしげの法律相談

最高裁判所が、非嫡出子の法定相続分を定めた民法の規定について、憲法違反だとの決定を下したと報道されています。
どうしてでしょうか?

結婚している夫婦の子どもが優先されるのは当然ではないでしょうか?

子どもは親を選んで生まれてきません。「生まれ」に基づく差別を許さないことが「人権」の最も基本的な思想です。(最高裁の判例変更)

婚姻届を提出しておらず、したがって法律上の結婚をしていない父母の間に生まれた子どもを法律上、「非嫡出子」と言います。

一般には「婚外子」という表現も使われていますが、最高裁判所(以下、最高裁と言います)は、先月4日(2013年9月4日)、非嫡出子の法定相続分は嫡出子(婚姻届を提出した父母の間に産まれた子ども)の法定相続分の2分の1と定めた民法第900条第4号但書きに関して、憲法に違反しないとしていた1995年の大法廷判決を変更し、法の下の平等を定めた憲法第14条に違反するとの判断を下しました。(民法900条)

民法900条は被相続人が遺言を残さずに死亡した場合における相続人の取り分(法定相続分)を定めています。詳しくは立教171年6月号に書かせて頂きましたので、重複は避けますが、その第4号は分かりやすく、かつ荒っぽく言えば「子どもが何人かいるときは長男でも、次男でも、男でも、女でも法定相続分は平等だが、非嫡出子だけは嫡出子の法定相続分の半分」と書かれています。

したがって、例えば父が1200万円の遺産を残して出直した場合、妻は600万円、嫡出子は400万円、非嫡出子は200万円を相続することになります。非嫡出子の母は、仮に同居し、長い間苦楽を共にし、そして最期を看取ったとしても1円も相続しません。

法定相続分

 

 

 

 

 

 

(従来の最高裁の考え)

父にとって同じ子どもでありながら、非嫡出子は嫡出子の半分しか相続できないことに関して数多くの裁判が繰り返されており、1995年、最高裁大法廷は「民法が法律婚主義を採用した結果として、差異が生じてもやむを得ない」との判断を示しました。

しかし、その大法廷判決も反対意見が付されており、そこには「法律婚を尊重するべきではあるが、子どもは親を選んで生まれてきていない。生まれについて何ら責任のない非嫡出子を差別することは法の下の平等を定めた憲法第14条に違反する」と述べられていました。

私も、この反対意見の言う通りだと考えます。したがって、これまで民主党は、この非嫡出子の差別を撤廃するための民法改正案も提出してきましたが、自民、公明が審議に応じず、未だ実現できません。冒頭に述べました今回の最高裁の決定を尊重し、早期に法改正を実現したいと思います。

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