公の造営物の設置、管理の瑕疵に基づく賠償責任:前川きよしげの法律相談

私が自動車を運転していたところ、道路に大きな穴が空いており、それを避けるために急ハンドルを切ったところ、対向車と衝突してしいました。
事故を起こした私が悪いとは思いますが、道路は国道です。国が道路を適切に管理してくれていたなら、事故は起こらなかったはずです。
国に責任はありませんか?

国家賠償法に基づいて、国に対して損害賠償を請求することが可能です。
道路が県道なら県、市道なら市に対して損害賠償を請求することが可能です。

【解説】

(国家賠償法)
立教176年9月の「教区報」において「土地工作物責任」に関して説明しました。建物や塀など、土地に接着して人工的に作り出されたものに欠陥(瑕疵)があり、その欠陥によって誰かに損害を与えた場合は、その工作物の占有者や所有者が賠償責任を負います(民法第717条第1項)。

これと同様に、国や地方自治体が設置したものに欠陥がある場合に関しても、国家賠償法第2条第1項は「道路、河川その他の公の造営物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。」と定めています。したがって、国や都道府県、市町村が設置し、管理しているものが原因で損害を被った場合には、その設置、管理者に対して損害賠償を請求することができます。

(公の造営物)
国家賠償法第2条第1項に言う「公の造営物」とは、広く公共のために用いられる物的施設を言い、「土地工作物」に限定されません。動産も含まれます。道路や、河川は法律が例示していますが、このほか判例が認めた例としては、橋、新幹線、空港(大阪空港訴訟)、自衛隊の砲弾、警察の公用車、刑務所に設置された旋盤、給水管、椅子などがあります。

(具体例)
この国家賠償法第2条第1項に基づいて損害賠償が命じらた例としては、
① 国道を通行中に落石事故に遭い、同乗者が死亡したケース(最高裁判決昭和45年8月20日)
② 国道に放置された故障車にバイクが激突して、バイクの運転者が死亡したケース(最高裁判決昭和50年7月25日)
③ 国道を走っていたバスが地滑りで海へ転落し、14名が死亡したケース(札幌高裁判決昭和47年2月18日)
などがあります。

また河川の氾濫による水害に関して、河川管理の瑕疵が争われ、国などに賠償が命じられる例もありましたが、大東水害訴訟の最高裁判決(最高裁判決昭和59年1月26日)が河川管理者の責任を限定し、以来、賠償責任を否定する判決が相次いでいます。

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